以下は2022年5月8日にわいわいネットなかま20周年イベントで発表された内容です。
ピアカウンセリング実践報告
- 初めまして。上原信哉と申します。
- 私はうつ病で精神障害2級のものです。高校3年の時にうつ病になり42年間苦しんでいます。
ピアカウンセリングとの出会い
・わいわいネットではG.H.さんさん上石を5年前に立ち上げられました。
・2019年10月ごろG.H.に精神障害者のMさんが入所されました。
・わいわいネットなかまの皆さんと関わっているうちに精神障害について職員と話をするようになりました。
・そのような流れの中、精神障害者同士のピアカウンセリングをしてほしいという依頼が来たのです。
ピアカウンセリングの様子
・これはMさんSさんとピアカウンセリングしてる様子です。
ピアカウンセリングの実際
・毎週火曜日、水曜日、木曜日の午後1時から3時までしました
・最初の頃は何をしていいのか分からずコーヒー飲んだりYou tube見たりして時間をつぶしました。
・それと同時に西舞鶴保健所の石原さんに精神障害者の「ピアカウンセリング」について教えていただきました。
・当時の思い出で一番心に残っているのがMさんが私の来訪をとても楽しみにされていたということでした。
・2019年11月ごろ精神障害者のIさんが入所されました。
・Iさんはパソコンが扱えスマホを利用されてました。
・そして3人目の精神障害者のSさんが入所されました。
・ピアカウンセリングとは同じ障害を持った人が話を聞き生活しやすくなるよう手助けをします。
・ピアカウンセリングにはいろいろなルールがあります。
・これを勉強しながらピアカウンセリングをしました。
ピアカウンセリングの効果
・一見大したことのない作業なのですがこれは非常に大きな効果がありました。
・一日中寝ておられたMさんは生活リズムを取り戻されました。
・Mさんについては笑顔も取り戻され体調に波がありますが生き生きとされています。
・Iさんについても作業所をはじめ生活する世界が広がりました。
・やはり笑顔が出るようになりました。
・Sさんもみんなととても高い壁を作っておられましたがそれがなくなりました。
・同じく笑顔が出るようになりました
・実際にはピアカウンセリングと同時に「わいわいディ」も開催されその中にピアカウンセリングを取り入れたためピアカウンセリングだけの効果ではないようです。
・精神障害者において誰かと話をするというのは環境としてほぼありません。
・私の経験から見ても誰かと話をするのは綾部市主催の「あゆみ会」ぐらいです。「あゆみ会」ですら話をするというのは年に数回です。
・作業所へ行けば話ができると思いますが作業所へ行ける人は随分病状の軽い人です。私は作業所が務まりませんでしたし作業所でも話をすることはありませんでした。
・精神障害者の多くは引きこもりです。親と話せるじゃないかと思われますが理解してくれる親はあまりいないと思います。精神障害者の苦しみは説明ができません。
・ただ話をするということですら精神障害者には環境が許さないのです。
・Mさん、Iさん、Sさんは笑顔で生活されるようになりました。
・そして一番驚いたのは私が笑顔になったのです。
・私もピアカウンセリングする以上にわいわいネットなかまのスタッフにカウンセリングしてもらったのです。もちろん仲間にもピアカウンセリングしていただきました。
・ピアカウンセリングやり始めて私の頭の中がつながり始めたのです。今までばらばらだったのが一つになっていくそんな感覚でした。
・私は本当にわいわいネットなかまと出会いMさんやIさん、Sさんに出会ってよかったと思っています。
・健常者では当たり前の会話が精神障害者にはできていません。そしてこれは本来精神障害者がおろそかにしてはいけないリハビリのような気もするのです。
ピアカウンセリングで学んだ事
・精神障害者を一人ぼっちにしてはいけない。
・精神障害者は理解されると変わる。
・効果を焦ってはいけない。本当に時間が必要です。
・ピアカウンセリングにせよ、理解するにせよ、なぜだか相性がある。自分を責めてはいけない。
京都北部の精神障害者の環境(昔)
・主に「あゆみ会」と「保健所」でした。
京都北部の精神障害者の環境(今)
今お世話になっているのは大体9か所です。
・「病院」
・「あゆみ会」
・「作業所」
・「家族会」
・「えがお(青空)」
・「トマトのお家」
・「綾部市役所」
・「中丹東保健所」
・「さんさん上石」(仕事)
場所ではないのですがお世話になっている人があります。
・「心の健康推進員」の皆さんです。
・今は「さんさん上石」「トマトのお家」が一番お世話になっています。そしてピアカウンセリングの勉強の関係で「中丹東保健所」「市役所」にとてもお世話になっています。
・社会福祉協議会と言うのがあるのですが全く対応していただけませんでした。
「病院」
・精神障害者になって苦しんでいるとき関係者のつてでとても良い精神科医に見てもらうことができました。ただ発病してから1年以上たっています。もし精神病の知識がちゃんとあればこんなことにはならなかったと思います。
・「病院」に関しては今現在でも様々な問題を抱えています。精神科医療の進歩も期待しますがその患者にあった薬が出されているかもっともっと検証してほしいです。
「あゆみ会」
・「あゆみ会」というのは昔、綾部にも保健所があったころから続いている精神障碍者の集いです。今は綾部保健所がなくなり中丹東保健所の管轄になっています。そしてそれと同時に「あゆみ会」は綾部市の管轄になり毎月3回ほど開かれています。
・私が一番お世話になったのはこのあゆみ会であります。この集まりで出会う精神障害者との触れ合い、そして心の健康推進員、保健所職員との触れ合いが日常のすべてでありました。
「作業所」
・その次にお世話になったのは物部の作業所でした。ここでも精神障害者がおられとてもほっとしたのを覚えています。ただここで得るものはあまりありませんでした。のちに民間会社を斡旋してくださり見た目にも経済的にも救われました。しかし心の休まるときはほとんどありませんでした。私個人としては作業所は癒される場にしてほしいです。働く意義はいいと思うのですが精神障害者は一人で苦しんでいます。精神障害者のケアをもっと頑張ってほしいです。
「家族会」
・私は当事者でありながら「家族会」に入って勉強もしてきました。ここでは主に精神障害の勉強と家族の癒しが行われていました。しかしながらだんだんと人が辞めていき高齢化し活動も小さくなってきました。辞められた人の中の発言に「こんなとこへきても少しも生活が楽にならん!辞めさせてもらう!」というのがありました。私は家族で慰めあうのもいいと思うのですがどうしたら家族が楽になるかをもっと追求すべきだと思います。昔の会長さんが「病気を知る」「薬を知る」ということが大事だといわれましたが精神障害者自身を理解できていないように思いました。精神障害者がなぜ家族を引っ掻き回すのかわかっている人はほとんどいませんでした。簡単に言うとおぼれ苦しんでいるからです。
「えがお(青空)」
・ここは障害者のための相談窓口です。何度か行きましたが何も得るものはありませんでした。実際のところよくわかりません。
「トマトのお家」
・ここは個人の家で(よく知らないのですが)障害者が集える場所を作ってくださいました。ここには心の健康推進員もおられとても居心地がいいです。
「綾部市役所」
・はじめは相談に行ってもあまり問題が解決することはありませんでした。しかし3年ほど前からピアカウンセリングするにあたって本当にお世話になるようになりました。そもそもマンパワーが足りないのではないでしょうか?ここでピアカウンセリングが力を発揮してくれるようになると嬉しいです。
「中丹東保健所」
・私が相談に行くのはここ一択でした。昔は綾部にあったので楽だったのですが今は遠くなりました。ピアカウンセリングの関係で今も随分お世話になっています。
「心の健康推進員」の皆さん
・私は今G.H.「さんさん上石」で働いていますが「心の健康推進員」さんには本当にお世話になっています。「トマトのお家」でも心の健康推進員さんにお世話になっています。精神障害者にとって行く場所も大事ですが私たちを理解してくれる「心の健康推進員」の方がもっと大切に感じます。
京都南部の精神障害者の環境
京都南部では
・病院
・行政
・「ピアサポーター」(ピアカウンセラーはこの中に入ります)
・「家族会」
がつながりとても良い効果を発揮しています。なかでも「ピアサポーター」の出現によりとても効果的に活動ができるようになっています。
精神障害者の環境:家族
・家族の対応が非常に大事です。
・しかしながら家族の本人への対応は非常に困難を極めます。距離感が非常に難しいのです。
・その結果家族に負担がかかり家族が壊れていきます。
・そのため、アウトリーチやメリデン版家族支援が行われています。
精神障害者の環境:フォロー
・精神障害者は入院か引きこもりと言うパターンが多い。
・「あゆみ会」だけではフォローできていない。
・「トマトのお家」みたいな場所が足りない。
・動けない人のためのアウトリーチが必要。
・仕事している精神障害者へのサポートも必要。
精神障害について
・苦しいです。不自由です。不幸です。
・うつ病は心の風邪とか言われますが簡単には治りません。
・予防してほしい。過労やストレスに要注意。(だいたい前兆があります)
・事故で精神病を患うことがあります。(てんかん・パーキンソン病等)。
・理解するのは非常に難しい。
精神障害者から
・人と繋がることが大事。(一人ぼっちが多い)
・長期入院は体を壊します。
・理解者が必要。理解者がいると世界が変わります。たとえ病気の理解が難しくてもなぜか心の優しい理解者がおられます。
・知識があると便利。
・リハビリが大事なのではないか?これは私の経験からです。
展望
・私はここ2年でがらりと変わりました。作業所でも窓際族をしていた私ですが今は精神障害者のために何かできないかと常に考えるようになりました。それほどピアカウンセリングは偉大だったのです。
・私が今考えていることはピアカウンセリングの普及です。ピアサポーターでもいいです。ピアカウンセリングの一番の肝はその人を一人にしないということです。大体大きな事件を起こした精神障害者は一人ぼっちになっています。
・そして私自身をカウンセリングしてくださった「心の健康推進員」を増やし一緒に活動することです。
・「家族会」「行政」も巻き込みたいです。私はここ2年ピアカウンセリングの関係で行政の人にずいぶんお世話になりました。ピアカウンセリングの効果も私だけの力ではありません。皆さんの協力、理解があってこそです。
・そして何より、皆さんの力をお借りしたいです。皆さんの理解がとても大事です。
ありがとうございました。
おわり